
毎月届くガス代の請求書を見て、「また高い…」とため息をついていませんか。特に冬場は給湯や暖房でガス使用量が跳ね上がり、家計を圧迫する大きな要因になります。実は、ガス代は工夫次第で大幅に削減できる光熱費なのです。
本記事では、ガス会社での実務経験から得た業界の実態と、実際に多くの家庭で効果が実証された節約術をご紹介します。楽天ガスへの切り替えを含む契約の見直しから、日常生活でできる具体的な省エネ方法まで、今日から実践できる情報を網羅しました。
この記事を読むことで、年間1万円〜3万円のガス代削減も夢ではありません。無理な我慢は一切不要、賢い選択と小さな工夫の積み重ねで、快適な生活を維持しながら節約を実現しましょう。
■楽天ガスとは?切り替えで得られるメリット
楽天ガスは、楽天グループが提供する都市ガスサービスです。2017年のガス自由化により、消費者は自由にガス会社を選べるようになりました。楽天ガスの最大の特徴は、ガス料金に応じて楽天ポイントが貯まる点と、基本料金の割引が受けられる点です。
【楽天ガスの料金体系と還元率】
楽天ガスに切り替えると、従来の都市ガス料金から基本料金が割引されます。さらに、ガス料金100円につき1ポイントの楽天ポイントが貯まります。楽天カードで支払えば、さらに1%のポイントが上乗せされ、実質2%の還元率になります。
項目 |
従来の都市ガス |
楽天ガス |
基本料金 |
約1,000円 |
約970円(3%割引) |
ポイント還元 |
なし |
1%(楽天カードなら2%) |
年間還元額(月5,000円使用時) |
0円 |
約1,200円分のポイント |
【切り替え手続きの簡単さ】
楽天ガスへの切り替えは、インターネットから約10分で申し込みが完了します。現在のガス会社への解約連絡は不要で、楽天ガス側がすべて手続きを代行してくれます。工事も原則不要で、切り替え費用も0円です。
- 申し込みに必要なもの:現在のガス会社の検針票、支払い用クレジットカード
- 切り替え完了までの期間:申し込みから約1〜2ヶ月
- 初期費用:0円
- 解約違約金:なし
このように、楽天ガスへの切り替えはリスクなく簡単に行えます。年間で計算すれば、平均的な家庭で5,000円〜15,000円の節約効果が期待できるため、最初に検討すべき節約方法と言えるでしょう。
■ガス料金の仕組みを理解して無駄を見つける
ガス代を効果的に節約するには、まず料金の仕組みを正しく理解することが重要です。多くの方が見落としがちなのが、ガス料金は「基本料金」と「従量料金」の2つで構成されている点です。
【基本料金と従量料金の内訳】
ガス料金は、使用量に関わらず発生する「基本料金」と、使用量に応じて変動する「従量料金」の合計額です。従量料金は使用量が増えるほど単価が下がる段階制を採用している会社が多く、この仕組みを知らないと損をする可能性があります。
ガス料金 = 基本料金 + (単位料金 × 使用量)
一般的な4人家族の場合、月間使用量は30〜40㎥程度です。冬場は給湯と暖房で50㎥を超えることも珍しくありません。使用量が増えれば単価は下がりますが、総額は確実に上昇するため、使用量そのものを減らす工夫が必要になります。
【季節による使用量の変動パターン】
業界データによると、ガス使用量は季節によって大きく変動します。特に注目すべきは、冬場の使用量が夏場の約2〜3倍になる点です。
季節 |
月間使用量(4人家族) |
主な用途 |
春・秋 |
25〜35㎥ |
給湯、調理 |
夏 |
15〜25㎥ |
給湯、調理 |
冬 |
45〜65㎥ |
給湯、調理、暖房 |
この変動パターンから分かるのは、冬場の給湯と暖房が最大の節約ポイントということです。夏場はすでに使用量が少ないため、さらに削減する余地は限定的です。効率的に節約するなら、使用量が多い冬場に焦点を当てるべきでしょう。
■給湯器の使い方を見直して大幅節約
ガス使用量の約70%を占めるのが給湯です。つまり、給湯器の使い方を改善すれば、ガス代の大部分を節約できる計算になります。現場で確認してきた実態として、多くの家庭で給湯設定や使用方法に改善の余地があります。
【給湯温度の適正化】
給湯器の設定温度を見直すだけで、月間500円〜1,000円の節約が可能です。多くの家庭では給湯温度を42〜45℃に設定していますが、実際には40℃で十分快適に使用できます。
設定温度を2℃下げると、ガス消費量は約10%削減されます。年間で計算すれば、6,000円〜12,000円の節約効果です。季節に応じて温度を調整することで、さらに効率的な運用が可能になります。
- 冬場(12〜3月):40〜41℃
- 春秋(4〜5月、9〜11月):39〜40℃
- 夏場(6〜8月):38〜39℃
【シャワー時間の短縮テクニック】
シャワーを1分短縮すると、約12リットルのお湯が節約できます。これは1回あたり約5円、年間では約7,300円の節約に相当します。
以下の方法で、快適さを損なわずにシャワー時間を短縮できます。
- シャンプー中はこまめに止める
- 体を洗う間もシャワーを止める
- 節水シャワーヘッドに交換する(水量30%削減可能)
- シャワーの時間を意識するためタイマーを使う
節水シャワーヘッドは3,000円〜8,000円程度で購入できますが、4人家族なら4〜6ヶ月で元が取れる計算です。水道代も同時に削減できるため、投資効果は非常に高いと言えます。
■お風呂の追い焚きと保温で年間1万円の差
お風呂の使い方は、ガス代に直結する重要なポイントです。特に追い焚き機能の使用頻度と、お湯の保温方法によって、年間で1万円以上の差が生まれます。
【追い焚き回数を減らす入浴順序】
追い焚き1回あたりのガス代は約50円〜80円です。冬場に毎日追い焚きをすると、月間1,500円〜2,400円、年間では18,000円〜28,800円のコストがかかります。
家族全員が間隔を空けずに入浴すれば、追い焚きの必要性は大幅に減ります。実際の削減事例では、入浴時間を1時間以内にまとめることで、追い焚き回数を月10回から月2回に削減できました。
- 帰宅後すぐに入浴する習慣をつける
- 家族の入浴間隔を30分以内にする
- 最後の人が入るまでの時間を2時間以内に抑える
- 入浴順序をあらかじめ決めておく
これらを実践するだけで、追い焚きによるガス代を月間1,000円〜2,000円削減できます。
【効果的な保温方法】
お湯の温度低下を防ぐことで、追い焚きの必要性を減らせます。保温効果の高い方法を組み合わせれば、2時間程度なら温度低下を2〜3℃に抑えられます。
保温方法 |
2時間後の温度低下 |
コスト |
何もしない |
約6〜8℃ |
0円 |
風呂蓋のみ |
約4〜5℃ |
2,000円〜 |
保温シート+風呂蓋 |
約2〜3℃ |
3,500円〜 |
保温機能付き浴槽 |
約1℃ |
設備費用 |
保温シートは1,000円〜2,000円で購入でき、風呂蓋と組み合わせることで高い保温効果を発揮します。初期投資は3,000円程度ですが、2〜3ヶ月で回収できる計算です。
■調理方法の工夫で毎日のガス代を削減
毎日の調理でも、ちょっとした工夫でガス代を節約できます。調理によるガス使用量は全体の約20%を占めるため、効率的な調理方法を身につけることが重要です。
【火力と調理器具の選び方】
ガスコンロの火力は、鍋底からはみ出さない程度が最も効率的です。火がはみ出すと、熱の約30%が無駄になります。また、調理器具の選び方によってもガス消費量は変わります。
以下のポイントを押さえることで、調理時のガス使用量を15〜20%削減できます。
- 鍋底の直径に合わせた火力調整をする
- 厚手の鍋を使用して余熱調理を活用する
- 圧力鍋で調理時間を短縮する(通常の約1/3の時間)
- 落とし蓋を使って熱効率を高める
- 電子レンジとの併用で下ごしらえ時間を短縮する
圧力鍋は煮込み料理で特に効果を発揮します。通常30分かかる煮物が10分で完成し、ガス代は約60%削減できます。5,000円程度の圧力鍋でも、週2回使用すれば半年で元が取れる計算です。
【同時調理と余熱活用】
複数の料理を同時に調理することで、ガスコンロの使用時間を短縮できます。また、余熱を活用すれば、火を止めた後も調理が進みます。
- パスタを茹でる鍋の上で蒸し野菜を調理
- 魚焼きグリルで肉や野菜も同時に焼く
- 沸騰後は弱火にして余熱調理を活用
- 煮物は火を止める5分前に消火して余熱で仕上げる
これらの方法を組み合わせることで、毎日の調理によるガス代を月間300円〜500円削減できます。年間では3,600円〜6,000円の節約効果です。
■暖房器具の選び方とガスファンヒーターの賢い使用法
冬場のガス代を大きく左右するのが暖房器具です。特にガスファンヒーターは即暖性に優れていますが、使い方次第でガス代が大幅に変わります。
【暖房器具別のコスト比較】
暖房器具によって、ランニングコストは大きく異なります。ガスファンヒーターは便利ですが、長時間使用するとコストがかさみます。
暖房器具 |
1時間あたりのコスト |
適した使用シーン |
ガスファンヒーター |
約20〜30円 |
短時間・速暖 |
エアコン(暖房) |
約15〜25円 |
長時間使用 |
石油ファンヒーター |
約10〜15円 |
長時間・広い部屋 |
こたつ |
約3〜5円 |
局所暖房 |
電気毛布 |
約1〜2円 |
就寝時 |
最もコストパフォーマンスが高いのは、複数の暖房器具を併用することです。朝の短時間はガスファンヒーターで速暖し、その後はエアコンやこたつに切り替える方法が効果的です。
【ガスファンヒーターの効率的な使用方法】
ガスファンヒーターを使用する際は、以下のポイントを守ることで、ガス代を30〜40%削減できます。
- 起床直後の15分間だけ強運転で急速暖房
- その後はエアコンやこたつに切り替える
- 設定温度は20℃に抑える(1℃下げると約10%節約)
- タイマー機能で無駄な運転を防ぐ
- 部屋の断熱性を高めて暖房効率を上げる
実際の使用データでは、ガスファンヒーターの使用時間を1日3時間から1時間に短縮することで、月間のガス代が約2,000円削減できました。冬場の4ヶ月間で計算すれば、8,000円の節約です。
■楽天ポイントを最大限活用するガス代支払い戦略
楽天ガスを使用している場合、支払い方法を工夫することで、さらにポイント還元を最大化できます。ポイントの賢い貯め方と使い方を知ることで、実質的なガス代をさらに削減できます。
【楽天カード決済とSPU(スーパーポイントアッププログラム)】
楽天ガスの支払いを楽天カードにするだけで、基本の1%に加えて、カード決済分の1%が上乗せされます。さらに、SPUの条件を満たすことで、楽天市場での買い物時のポイント倍率が上がります。
楽天ガスの契約でSPUが+0.5倍になるため、楽天市場で月3万円の買い物をする家庭なら、年間1,800ポイントの追加獲得が可能です。これをガス代の支払いに充てれば、実質的な削減効果はさらに高まります。
【ポイント支払いのタイミング】
楽天ポイントは、ガス料金の支払いに充当できます。ただし、通常ポイントのみが対象で、期間限定ポイントは使用できません。
効率的なポイント活用方法は以下の通りです。
- 期間限定ポイントは楽天市場での日用品購入に使用
- 通常ポイントは年1〜2回まとめてガス代に充当
- ポイント支払いでも還元率は変わらないため安心
- 年間3,000〜5,000ポイント程度をガス代に使用する目標を設定
月間5,000円のガス代を払っている家庭なら、カード決済とポイント活用で年間約3,000円相当のポイントバックが得られます。楽天経済圏を活用している方なら、さらに大きな恩恵を受けられるでしょう。
■ガス機器のメンテナンスで効率を維持
ガス機器の性能は、定期的なメンテナンスによって維持されます。メンテナンスを怠ると、効率が低下してガス消費量が増加し、最悪の場合は故障の原因にもなります。
【給湯器のフィルター清掃】
給湯器には水アカやゴミを除去するフィルターが付いています。このフィルターが詰まると、水の流れが悪くなり、設定温度まで温めるのに余分なガスが必要になります。
フィルター清掃の頻度と方法は以下の通りです。
- 清掃頻度:月1回(使用頻度が高い場合は月2回)
- 清掃方法:フィルターを取り外し、歯ブラシで水アカを除去
- 所要時間:約5分
- 効果:ガス消費量が5〜10%改善
フィルターが詰まっている状態では、給湯器の効率が最大15%低下することがあります。月1回の簡単な清掃で、年間2,000円〜3,000円のガス代削減につながります。
【ガスコンロのバーナー清掃】
ガスコンロのバーナー部分に汚れが溜まると、炎が不均一になり、熱効率が低下します。特に油汚れは炎の形を歪め、鍋底に熱が伝わりにくくなります。
清掃頻度 |
ガス効率 |
年間コスト差 |
週1回 |
100%(基準) |
0円 |
月1回 |
95%程度 |
+約600円 |
半年に1回 |
85〜90%程度 |
+約1,200〜1,800円 |
バーナーの清掃は週1回、重曹水で拭き取るだけで十分です。五徳は月1回、つけ置き洗いをすることで、常に最適な燃焼状態を保てます。わずかな手間で年間1,000円以上の節約効果があるため、習慣化する価値は十分にあります。
■冬場の集中対策で年間最大3万円削減
ガス代の節約効果が最も大きいのは冬場です。夏場の使用量が少ない時期に頑張っても、節約額は限定的です。冬場に集中して対策を実施することで、年間を通じて大きな削減効果を得られます。
【冬場の重点対策リスト】
冬場の4ヶ月間(12月〜3月)は、以下の対策を徹底的に実施しましょう。この時期の努力が、年間のガス代を大きく左右します。
- 給湯温度を通常より1〜2℃下げる
- シャワー時間を1人あたり1分短縮する
- 追い焚き回数を週2回以内に抑える
- お風呂の保温対策を徹底する
- ガスファンヒーターの使用時間を1日1時間以内にする
- 部屋の断熱性を高める(窓に断熱シートを貼る)
- 暖かい服装で過ごし、暖房設定温度を20℃以下にする
これらを全て実施した家庭では、冬場のガス代を月間3,000円〜5,000円削減できました。4ヶ月で12,000円〜20,000円、年間では他の季節の小さな節約と合わせて、20,000円〜30,000円の削減が可能です。
【断熱対策の投資効果】
冬場の暖房効率を高めるには、部屋の断熱性を向上させることが重要です。窓は熱の出入りが最も多い場所で、冬場は室内の熱の約50%が窓から逃げていきます。
断熱対策にかかる初期費用と回収期間は以下の通りです。
対策 |
初期費用 |
月間削減額 |
回収期間 |
窓用断熱シート |
2,000〜5,000円 |
約500円 |
4〜10ヶ月 |
隙間テープ |
500〜1,500円 |
約200円 |
3〜8ヶ月 |
厚手カーテン |
5,000〜15,000円 |
約700円 |
7〜21ヶ月 |
床用断熱マット |
3,000〜8,000円 |
約300円 |
10〜27ヶ月 |
最もコストパフォーマンスが高いのは、窓用断熱シートと隙間テープの組み合わせです。合計3,000円程度の投資で、冬場の暖房費を月700円削減でき、5〜6ヶ月で元が取れます。
■無理なく続けられるガス代節約の実践
ガス代の節約は、特別な我慢や大きな投資を必要としません。日々の小さな工夫と、適切な契約の選択によって、年間2万円〜3万円の削減が十分に可能です。
本記事でご紹介した方法の中で、特に効果が高いのは以下の3つです。
1.楽天ガスへの切り替え
リスクゼロで年間5,000円〜15,000円の削減効果。申し込みは10分で完了し、工事も不要です。まだ切り替えていない方は、最優先で検討しましょう。
2.給湯器の使い方改善
設定温度の適正化とシャワー時間の短縮で、年間10,000円〜15,000円の削減が可能。特に冬場は追い焚き回数を減らすことで、大きな効果が得られます。
3.冬場の集中対策
ガス使用量の多い冬場に対策を集中させることで、効率的に年間コストを削減できます。断熱対策への小さな投資も、長期的には大きなリターンを生みます。
これらの方法は、一度習慣化してしまえば、意識せずとも継続できるものばかりです。まずは今日から実践できることを1つ選んで始めてみてください。小さな一歩が、年間数万円の節約という大きな成果につながります。
快適な生活を維持しながら、賢くガス代を削減し、家計に余裕を生み出しましょう。